3月28日(振り返り)
「申し訳ないけど、わたしは名古屋に戻ってくることは出来ない。今は、わたしもそうだけど相方がとても調子が悪い。あの人を置いて行くことなんて出来ないの。これがわたしの出したひとつめの答え。」
「ひとつめ?」
「そう。ふたつめは答えというよりお願いよ。副社長なんて肩書はいらない。だけど、わたしはまた葵ちゃんと仕事がしたいの。だから、わたしが相方と一緒に住みながら出来る仕事を与えて貰えないかな。」
「実に、英奈らしい答えね。」
「だけど、それが正解よ。もしも英奈があの人を置いてひとりで名古屋に戻ってくると言うのなら、あたしはこの話を無かったことにするつもりだった。そして、それでも仕事をしたいと言ってくれば迎え入れるつもりでいた。」
「実に、葵ちゃんらしい課題ね。」
「英奈。4月からまた一緒に頑張ろう。あたしにはやっぱりあなたが必要なの。しばらくは名古屋に泊まるといいわ。もちろん会社の経費で負担するわ。副社長の出張費としてね。」
こうして、わたしは4月から葵ちゃんの会社の取締役副社長になることになった。