2月14日
バレンタインデー。
その言葉を聞くだけで、頭がクラクラする。一年で一番嫌いな日かもしれないね。
別に今はもうわたしには関係のない日だけど、キャバクラで働いている時代は本当に苦痛だった。常連やわたしを指名してくれる全ての客にチョコレートを用意しなくてはいけなかったんだもの。
10代の頃なんかは、40個くらいのチョコレートを用意しなければならない時代もあった。わたしもなんだか変にやる気を出しちゃってね。同じチョコレートは2つもいらなかった。お客さんの顔を思い出して、その人に似あうチョコレートを選んだ。場合によってはチョコレート以外のプレゼントを添えたこともある。手書きのメッセージとかね。
楽しかったんだろうね。男に喜んでもらうということが。手間も時間も惜しまずに贈り物を用意した。
ある年は、行きつけの洋服を仕立ててくれる店に頼んでリボンを作ってもらった。長さが5メートルくらいあるやつ。ピンクのリボンに赤の刺繍で「please eat me」と書いてもらったものを、わたしの身体に巻き付けて胸の前で結んだ。
英語は苦手?
直訳すると「わたしを食べて。」
怖っ。
寒っ。
今だから笑って話せる黒歴史だ。笑えない?笑ってよ。そうじゃなきゃあなたに食わせるよ。
当然、見返りは期待した。いけない?
おねだりもしたよ。欲しいものとか正直にねだった。そんな高いものは要求しなかったけどね。40万くらいするシャンパンをもらったことがあるけど、1時間もかけずに飲み干してしまったけど。
嫌いな日だけど、あの頃は楽しかったな。いや、あの頃も楽しかった。
今は、チョコレートはひとつ用意すればいい。気の利いたメッセージカードもネックレスも用意する必要は無い。ただ、キスだけ添えてやればあの人は満足してくれる。
「please eat me」も必要ない。そんなもの出したらナイフとフォークでで刺されてしまうから。
あなたにとって今日はいいバレンタインデーだったろうか。
願わくば笑って「そんなわけないじゃん。」と言って欲しい。