1月2日

「ママ。」
 この声を聞くと正月もいいもんだなと思う。
 最近ではなにか逢う理由がないとなかなか息子にも逢えないから。


 ちょっと見ない間にまた大きくなったな。もうとっくにわたしの身長を追い抜いている。
わたしが15のときに産んだんだからもう13歳になるのか。年月が流れるのは早いもんだ。
息子と逢えるのは嬉しいけどやっぱり自分の親とは会いたくない。息子が産まれてすぐにこの家を追い出されたんだ。母親になる資格はないって。
「今どこに住んでいるの?」
「今なにをしているの?」
家族というものは不思議なものだ。言葉に出して聞かれなくても、プレッシャーは伝わってくる。それだけで十分過ぎるほど息苦しい。
 いつからこんなに両親が鬱陶しいものになったのだろう。ちゃんと優しかったころの記憶はあるんだけど。なにがきっかけでわたしはもう子供扱いしてもらえなくなったのだろう。
悪いけどあなた達が気にしていることには、なにも答えるつもりはないから。
これから弟もここへやって来るという。無理だ。会う気もしない。おやじとおかんの顔を見ただけでゲロでも吐き出しそうなのに。


 息子とふたりでファミレスでご飯を食べた。ふたり揃ってハンバーグセットを頼んだ。それとフライドポテトの大盛りを分け合って食べた。
 いつもわたしは息子と同じ料理を注文する。なぜかは分からないけど。


 息子との別れ際にほんの少しだけどお年玉を渡した。5千円だけ。中学1年生にしてみたら大して大きな金額でもないだろう。
 このときだけは金というものを持っていない自分を呪った。毎日、同じようなインスタント食品ばかりを食べているときには気にもならないのだけれど。


 今度はいつ逢えるだろう。早く逢いたいとも思うし、しばらくは放っておいてくれという気にもなる。
 わたしはもう、あなたが幸せである為に必要なピースではないことは分かっているのだから。

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