1月4日
新年早々禁欲する生活を強いられることになった。暇で暇で仕方がない。だから一日中読書をして過ごすことにした。
わたしは中学までしか出ていないし、元から頭は悪いのだけど読書というものだけは嫌いではない。
頭が悪すぎるから、今まで読んだ本でなにが面白かったと聞かれても、どんな著者が好きなのかと聞かれても覚えていないんだけど。
うちの本棚にはたくさんの文庫本が並んでいる。でも、わたしが読むのはその中のほんの一部だけだ。好きな本は何回でも読み返せるし、気に入らない本は途中までしか読まないまま本棚に並べられている。
わたしが本を好きになったのは相方の影響が大きい。相方はわたしと出会った頃から色んな本をわたしに読めとすすめてきた。
国語の教科書ですらまともに読めなかったわたしには苦痛でしかなかったが、何年かしてから少しずつ本を読むようになると、なるほどこれは面白いと思うようになった。
わたしの相方は定職についていない。小説家になるのが夢らしく毎日本を読んだり、パソコンに向かってなにかをひたすらに書き続けている。
もう40歳にもなるのだが、人生の折り返し地点まで来たんだから最後に一度だけ真剣になりたいものを目指したいと言って、去年の2月頃に仕事を辞めて今の生活を送っている。
人生に折り返しなんてあるのか。ずっと前だけを見て進んでいくしかないんじゃないのか。40歳にもなってそんなことも分かっていないやつが面白い小説なんか書けるわけがないと最初は思っていた。
しかし、夏になり彼が書きあげた処女作を読んでみて、これは意外と面白いもんだと思った。このまま努力を続ければもしかしたら、5年10年先には明るい未来があるのかもしれない。そこまで努力を続けていく覚悟を持っているのかどうかはしらないけど。
煙草もろくに吸えないからイライラした一日だった。早く給料日にならないと頭がおかしくなってしまう。ああ、あたまがおかしいからこんなに貧しい暮らしをしているんだっけ。
売りでもやろうか。そんなことが頭を過ったがパソコンの前に真剣な顔で座っている相方を見たら、もうそんなことには手を出すのは止めておこうと思った。