1月5日

 あまりにも暇だからSEXばかりをして一日過ごした。わたしも相方もSEXは好きだ。
わたしは特にこの男に抱かれることが好きで仕方ない。
 SEXするときの相方はものすごく魅力的に見える。顔もそうだし、その態度も。
いつもは優しさと温さが固まりになったような男だけど、それは本来この男が持っているものとは違っていた。
 強引で頑固で積極的で。そのうえどこかあぶない空気も纏っていた。反面どこか繊細であやうい一面も持っていた。
 ただ、最初はこの男の強さばかりに目が行っていた。あぶない感じもあやうい感じもまだ子供だったわたしには感じ取るが出来なかった。
 もう9年になるのか。この男と出会ってから。出会った時からこの男はずっとわたしのことを女扱いしてくれた。大人扱いしてくれた。そんなやつ、それまでわたしの身の周りには誰ひとりいなかったのに。
 いや。ひとりだけいたんだ。わたしより1つ年上の姉ちゃんみたいな存在が。その人がこの男を紹介してくれたんだ。きっと英奈の力になってくれる人だと言って。
 この男は出会った頃は本当にわたしのことを叱ってばかりいた。うざいと思っていたよ。形だけわたしを叱る男は他に何人もいたけど、この男だけは本気でわたしに向き合ってくれていると思うようになった。男のくせに女であるわたしの胸ぐらを掴んで、獣みたいな目でわたしをよく睨みつけてきた。平手で殴られたことも何度もあった。わたしも当然やり返した。そんなことは茶飯事だった。
 まずわたしに芽生えたのは恐怖だった。そのくらいこの男は怖かった。なにしろ本気なのだ。人の本気というものを初めて目にするわたしにはとてつもない圧力だった。それも並みの男の本気じゃない。根っこから強い男の本気というのはこの男以外から感じたことはない。
 その強い男とわたしは行動を共にすることが多くなった。別に恋愛なんかじゃない。魅かれてしまったのだ。そして、徐々にこの男が持つものの根源が恐怖でないことを知った。子供だったわたしにはそれを「愛情」としか言い表せなかった。
 そして長い時間をかけてその男の持つ色々な表情を知るようになった。知れば知るほどこの男はわたしの隣に座ってはいるものの、どこか遠い世界の人間だと感じるようになったのだ。


 わたしがこの男とSEXがしたいと思うのは、最近薄れ始めてきたこの男の本性を見たくなるからだ。


 一度見てしまえば癖になる。いくらでも眺めていたくなる。そんな表情をするのだ。
 寝る前にもう一度だけ求めてみよう。
 あなたの顔が見たいからと。

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