3月9日

今日は相方がパソコンに向かっている姿を久しぶりに見た。
回復したのだろうか。


わたしはまだ回復の兆しが見えない。
もとからこんな体だったんだよ。
今年に入ってから、やけに気分がいい日が続いただけだ。


相方の背中に向かって愚痴をこぼす。
あの人はわたしがどれだけ辛いのかはよく分かっているはずだ。
だからわたしを褒めてくれた。


「いいじゃないか。辛い時は休んでも。無理する必要は無い。お前はよくやっているよ。心も身体もボロボロにして日記を書いたり、コラムを書いたり小説にまで手をかけることが出来た。それで十分じゃないか。」


優しい言葉に聞こえるかもしれないけど、そんな温い言葉でないことはあの人の口から出る音を聞けば分かった。


相方に近付きたくて膝を引きずったまま近寄った。
相方はゆっくりわたしの方を見て、自分の座っている場所から1メートルくらい離れた場所にボールペンを置いた。


「そのペンからこっち側は死だ。人外の者だけが住む世界だ。人のまま入ってくるな。」


 そうだった。年明けにわたしが神社で手を合わせて祈ったのはなにものかにないたいと思ったからだった。わたしが想像していたそれも人の形はしていなかった。


「わたしの目が人のものとは違うものになればそっちの世界に入れてくれる?」


相方は返事をしてくれなかったが、わたしは今日から改めて人外のものとして生きていこう。

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