2月6日

 今日、相方はなんとか目を覚ましてくれた。
 一体いつまで、こんな辛い日々が続くのだろう。相方は身体に病気を抱えているわけではない。心に爆弾を背負っているだけだ。


 あんなに優しくて、聡明で、気高い相方も心の爆弾に火がついてしまえば、蚊よりも頼りない生き物に変化してしまう。神というものがあるのなら教えてもらいたい。なぜ、相方はあんなに辛い思いをして生きていかなくてはならないのか。


 正直、わたしだって辛い。わたしも心の病気というものを患っているのだ。相方を支えてあげられるほど屈強ではないのだ。
 なにかわたし達ふたりが罪を犯したとでもいうのだろうか。わたし達は罪滅ぼしのために生きているのだろうか。


 わたしはともかく、相方に罪などあるはずがない。わたしをはじめ何人もの人間に希望を与え続けてきてくれたのだから。その分幸せになる権利は十分あるはずだ。


 相方を傷付けるものは少なくとも3つあるという。「不安」「後悔」「憂鬱」。ほとんど毎日のように不安を抱えているらしい。なにが不安というわけでもないらしい。「将来に対して唯ぼんやりとした不安を抱えている。」らしい。芥川龍之介みたいなやつだ。芥川も随分心を侵されていたらしい。そして、唯ぼんやりとした不安を抱えていたという。


 はっきりいって心配だ。相方が自分の命をどこかに投げ捨ててしまわないかと。あの人は命を大事にしていない。
「そのときがくれば死に抵抗したりはしないし、そのときが少しずつ近づいて来ているという覚悟はある。」


 この世の中の自死というものを肯定するやつ全員に教えてやりたい。あんたらが死んで悲しい思いをするのはあんたではないのだよ。
 あなたの歴史を一緒に作ってきた人達みんなが悲しい思いをするのだよ。辛い思いをするのだよ。


 わたしも昔は自分の命なんて燃えるごみくらいに思っていた。
だけど、あんたがわたしの荒んだ心を暖めてくれたんじゃないか。今度はわたしが出来るだけ暖めてあげるから、頼むから命を大事に扱ってくれ。


 だけど、わたしは苦しそうな顔でパソコンに向かっている相方をその場から引きずり出して、ベッドの中に押し込むような真似は出来ない。だって、その姿が一番かっこいいのだから。おかしなことを言っているようだが、命をすり減らしてまでなにかに打ち込んでいる相方が素敵な存在だと思えてしまうから。

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